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天河大辨財天社

かつて皇位継承事件で窮地にたたされた大海人皇子は、大和朝廷を守護する神々のふるさと吉野を訪れ、天心地祇に勝利を祈願して琴を奏じました。

すると、その音に乗って唐玉緒を纏った天女が現れ、戦勝の祝福を示しました。この天女は、役行者が弥山山頂に祀ったとされる弥山大神でした。これに力を得た皇子は、壬申の乱に勝利を収め、即位して天武天皇となりました。

その後、天皇はこの天女の加護に報いるため、麓に神殿を造営し、「天の安河の宮」とされました。これが天河大弁財天社の始まりだと伝えられており、天川村の名前の由来となったとされています。

御祭神は中央に弁才天、右に熊野権現(本地仏:阿弥陀如来) 左に吉野権現(蔵王権現)がお祀りされており、神仏習合の形態を今も残しています。

また、神社は吉野熊野本宮あるいは吉野総社として、大峯修験の要の行場とされ、古来、高僧や修験者たちが集まるところでした。

特に弘法大師空海の参籠後は、大峯参り、高野詣と併せて多くの人々が訪れるところとなりました。日本の三大弁天の宗家とされるこの天河大弁財天社は、水の精、弁財天女を祀ります。

また、弁財天女は、音楽や芸能の神様としても有名です。神前での能の奉納が、毎年行われ、世阿弥も用いたとされる阿古武尉の面、能楽草創期からの価値の高い能面、能装束が多数奉納されています。

 

施設情報

所在地 天川村坪内
設備 駐車場
問い合わせ先 http://www.tenkawa-jinja.or.jp/
電話:0747-63-0558