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名水百選 泉の森

龍泉寺前の道(洞川から下市と吉野へ抜ける旧街道)を東北へ10分ほど歩くと赤い鳥居に出会います。

薄暗い杉木立のなかに蔵王権現をまつる小さな社があって、その奥の岩窟からあふれ出ているのが「泉の森」です。

ここは洞川部落の表鬼門にあたり、疫病や悪人の侵入を防ぐために守護神としてまつられてきました。

その神がほかならぬ名水だったもので、この地区の人たちは簡易水道を利用していますが、現在でも病人が出るとこの神水をもらいにくることが多いそうです。

 

洞川湧水群

洞川地区は太古の造山活動により石灰岩の地層が隆起してカルスト地形がつくられ、そこへ花崗岩質のマグマが貫入して独特の地形を形成した場所です。そこにうまれた原生の森が雨水をたくわえ、地区内のあちこちへ清冽な水を湧出させて人々に恵みを与えてきました。

近畿で一番高い場所に位置するこの地域では、古来よりそんな森や山岳が信仰の対象されてきたのです。

泉の森、神泉洞、ごろごろ水の三カ所からなる洞川湧水群は、とくに人々が親しみ、また信仰篤く大切に保全され、環境省が1985年7月に認定した日本名水百選にも選ばれています。

名水百選:洞川湧水群(環境省選定)